カーバッテリーを理解して バッテリー上がりを防ごう
あるとき突然のバッテリー上がり
このごろ一回でエンジンがかからないことが多いな。
アクセルの踏み具合でヘッドライトの明るさが変わるのが気になるわ。
電動スライドドアの動きがこんな遅かったかな?
違和感がありながらも大きな支障もないので運転を続けていた そんなある日。
外出中にハザードランプを点滅させ停車していたら突然エンジンがかからなくかった。
交通量の多い路上でバッテリーが上がってしまって大困り。
これに似た経験をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の場合は、消耗して悲鳴を上げていたバッテリーに、ハザードランプ点滅による電力消費がとどめをさしてしまった様です。
カーバッテリーは、充電と放電が行われます
モーターや灯火類等 電装品使用時に放電が行われ、走行時に発電機(オルタネーター)から充電されるカーバッテリーは、充電と放電ができる蓄電池(二次電池)です。
エアコンやオーディオをよく使用し、買い物や出迎えなどの日常的なチョイのり短距離走行で充電量が少ないとバッテリーの蓄電量が不足してエンジンスタート時に必要な電流を出力できずエンジンがかからない状態(バッテリー上がり)になってしまいます。
日中の長距離走行で、一時的にバッテリーの蓄電量が増えたように見えても、
の状態に陥ると、バッテリー上がりでエンジンがかからなくなります。
バッテリーの充電
バッテリーの充電は、オルタネーターと呼ばれる発電機により行われます。
オルタネーターは、エンジンの回転軸(クランクシャフト)とベルトでつながり、エンジンの動力エネルギーを電気エネルギーに変換します。
発電量は、エンジンの回転数により変わり、軽自動車で50~60A。 普通車で80~100A程度。
出力電圧は、12Vバッテリー搭載車でおよそ14V、24Vバッテリー搭載車で29Vです。
バッテリーの放電
バッテリーの放電は、灯火類やエアコンなどの電装品の使用による消費電力が発電量を上回った場合に行われます。
JAFホームページでは、電気消費量TOP5は、以下のようになっています。
- エアコン
- ブレーキランプ
- リアデフォッガー
- ヘッドライト
- ワイパー
バッテリー上がり救援対応件数のピークは8月と12月の年2回ありますが、8月夏場のバッテリー上がりの多発の原因は、エアコン使用過多による消費電力の増加が影響しています。
消費電力の実際
それでは、各電装品の電力消費は実際には、どれだけでしょうか?
メーカーや販売店により様々なデータが公開されていますが、電装品ごとの消費電力はおおよそ下記の範囲です。
- エアコン 風量最大 15~18A(送風時のブロアモーター回転に必要な電流。)
風量低 6~8A - ブレーキランプ 4~7A
- ヘッドライト ハイビーム 8~11.5A
- ヘッドライト ロービーム 6~9.5A
- フォグランプ 6~9A
- ブレーキランプ 3~4A
- リアデフォッガー 8~11A
- ワイパー 2~8A
- ウィンカー 1.8A
- ハザードランプ 4~8A
- ルームランプ 0.8A
- 電動ミラー 2~3A
エンジン始動時にセルモーターを回転させるために必要な電流は、100A~300A程度です。
電装品の使用過多により電流が多量に消費されてバッテリーの蓄電量が、これを下回るとエンジンがかからないバッテリー上がりの状態になります。
カーエアコンの消費電力
カーエアコンでは、冷媒を圧縮するためのコンプレッサーの動力エネルギーは、エンジンとコンプレッサーをベルトで接続することで直接エンジンから伝達されます。
そのため、コンプレッサーによる電力消費はなく、カーエアコンの消費電力のほとんどは、車内に冷風を送り込むためのブロアファンの回転のために消費されます。
冬場の気温低下によるバッテリー上がりに注意
温度が低下してくるとバッテリー内部の化学反応速度が低下するため内部抵抗が増加しバッテリー容量【*1】が低下します。
同時に、エンジンオイルの粘度も増し、エンジン始動のためにクランクシャフトを回す力もより大きな力が必要となってきます。
これらの条件が重なり冬場の低温時には、エンジン始動ができるだけの電流がセルモーターに供給されなくなりバッテリー上がりの症状になりやすくなります。
【*1】バッテリー容量(Ah)は、JISやDIN規格では25℃、SAE規格では27℃時での容量を表示しています。
冬場に入る前にはバッテリー点検
最近エンジンがかかりずらい。ヘッドライトが暗くなってきたなどバッテリー消耗の兆候が見える場合や過去にバッテリー上がりを起こしたことがある場合は、冬場に入る前にバッテリー点検をお勧めいたします。
バッテリー液(希硫酸)比重 1.28
バッテリー電圧 12.4V~13.0V
また、山間部のスキー場など寒冷地への旅行の際には、断熱仕様のバッテリー保護シートの使用を検討しましょう。