自動車のバッテリー等の誤った取り付けによる火災
車もかんたんに燃えるんですね
国土交通省は2011年6月14日に「自動車のバッテリー等の誤った取り付けによる火災にご注意!」の件名で報道発表を行いユーザーに対して注意喚起を促しています。
その後、2015年年末に東京都と長崎で立て続けにバッテリー付近からの出火事故がニュースになりました。
車ってひとりでに燃えることがあるんですね。
注意喚起以降の出火事故はどうなっているんでしょうか?
気になったので、バッテリー付近からの出火状況を調べてみました。
ちなみに、この発表での具体的なユーザーへの注意内容は下のようになってます。
バッテリー交換や電装品の後付け方法は一度点検してみて損はないですよね。
- バッテリー固定金具やバッテリー端子取付け用ナットは工具を使ってしっかりと締め付けて固定すること。
- 端子位置が逆、あるいは固定出来ないようなサイズのバッテリーを使用することの無いように、車両にあった型式のバッテリーを選定すること。
- サイズの合わないヘッドランプバルブを使用しないこと。
- 後付け電装品の配線には適切なヒューズを取り付け、車体の縁端部や他の電装品と接触するような配線とならないように注意すること。
出典:国土交通省ホームページ
(http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_000838.html)
バッテリー交換及び後付け電装品取付 作業時の注意事項
出典:国土交通省ホームページ
(https://www.mlit.go.jp/common/000147018.pdf)
出典:国土交通省ホームページ
(https://www.mlit.go.jp/common/000147018.pdf)
バッテリーが発生原因の火災
以下は、「自動車のバッテリー等の誤った取り付けによる火災にご注意!」の注意喚起がなされた以降の「自動車の不具合による事故・火災情報の調査」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/cgi-bin/list.cgi)2013年分を加工して作成しました。
加工は、2022年の自動車の不具合による事故・火災情報より、バッテリーに関連し原因が特定あるいは推定された情報のみを抽出して記載することを条件としています。
- トヨタスターレット バッテリの取付不良により、バッテリプラス端子部と固定金具が接触してショートし、異常通電により過熱した。
- トヨタプリウス ルーフのシーラ部から雨等が浸水し、ラゲージルームに溜まった水がハイブリッドバッテリ端子部にかかりショートし、発熱して出火した。
- スズキワゴンR バッテリを固定するために後付けされた針金が、バッテリプラス端子とボデーの双方に接触してショート。
- ダイハツミラ バッテリーを交換した際にステーボルトの締付けが確実に実施されていなかったため、バッテリーステーがバッテリープラスターミナルに接触しショート。
- トヨタプリウス 後席に積載していた導電性の液体洗剤の容器が倒れ、ハイブリッドバッテリのジャンクションブロックにかかったことで異常通電。
- ニッサンマーチ バッテリーのプラス端子の取付が不十分で、端子部で接触不良を起こしてスパークが発生し、発煙および出火に至った。
- トヨタポルテ 樹脂製のジャンプスタータ用バッテリが高温になった排気系部品に付着した。
- トヨタアルファード 後付け電動ウィンチの配策不良により、バッテリーへ接続する電源線がリヤアクスルと干渉し、ショートにより発熱して出火。
- ニッサンエルグランド バッテリー左側付近の後付け配線が短絡等によって出火した。
- トヨタMR2 バッテリプラスターミナルに後付けされた社外品配線の取付不良により過熱し、出火。
- ホンダエリシオン バッテリプラス端子とプラスターミナルとの接触不良により、プラスケーブルが発熱してケーブル被覆から発火し、付近の樹脂部品に延焼。
- ホンダフリード バッテリ交換時の取り付け不良によりスタータケーブルの被覆が走行振動により削れ、スタータケーブルとバッテリベースのステーがショートして出火。
- ホンダライフ 12Vバッテリを充電した後にブースタケーブルを接続したままボンネットを閉めたため、ブースタケーブルのクランプがバッテリステーと接触し、ショート。
- トヨタアルファード バッテリに後付けされた配線の取付不良により、バッテリー取付金具と後付け配線との間でショートが発生し、異常通電による過熱から出火。
- ホンダフィット 車両前方を損傷する事故により、バルクヘッドアッパフレームが変形して12Vバッテリプラス端子側の電極板を押し潰すように接触し、バルクヘッドアッパフレームと12Vバッテリがショートし、異常通電による発熱から発火。
- トヨタイプサム 接続のため排気系部品上に置いたジャンプスタータ用バッテリが排気系部品に付着し、排気系部品の熱を受けて出火。
- トヨタクラウンマジェスタ バッテリーのプラスターミナルの締め付けが緩く、針金で固定されていたことから、バッテリプラスターミナルの取付け不良により、異常通電が発生し、発熱して出火。
- いすゞWIZARD バッテリ増設時にバッテリケーブルをアクセルケーブルと干渉した状態で配索したため、車両振動で被覆が摩耗して短絡が発生し出火。
- トヨタbB バッテリのプラスターミナルに後付けされた配線に溶損が認められ、車両にその他の異常は認められなかったことから、後付け配線の過熱によるものと推定。
- スバルレガシィ エンジンルーム内のバッテリーターミナル付近に取り付けられた社外品(補助電源装置)の配線部が高温になり、出火。
以上 出典:「自動車の不具合による事故・火災情報の調査」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/cgi-bin/list.cgi)を加工して作成。
自動車の不具合による事故・火災情報発生件数の推移
2013年~2022年にかけての自動車の不具合による事故・火災情報発生の発生件数を掲載しています。
発生件数だけ見ると、注意喚起後の件数に少しの減少は見られますが、目立った減少は確認されていません。
2013年の結果だけ見ても、
- バッテリー交換後の本体固定不足や端子固定ミス。
- 後付け装置のケーブルの取り回し不良によるショート。
- リコールの未適用。
- 整備点検の未実施。
など車運転者の日常の注意で回避できる不具合も見受けられます。
自分の安全は自分を守るを念頭にバッテリー交換時や後付け部品装着時は、慎重に行うようにしたいですね。
調査年 | 発生件数(Total 7797件) |
---|---|
2013年 | 1491件 |
2014年 | 1465件 |
2015年 | 1325件 |
2016年 | 1346件 |
2017年 | 1342件 |
2018年 | 1196件 |
2019年 | 1023件 |
2020年 | 874件 |
2021年 | 859件 |
2022年 | 605件 |
「自動車の不具合による事故・火災情報の調査」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/cgi-bin/list.cgi)を加工して作成。