突然の積雪にトラブルを乗り切る準備
極端な気象現象による影響
近年、温暖化の影響等により寒暖の両極化など極端な気象現象が多くなってきています。
これにより、冬季では従来積雪による影響を受けなかった地域でも突然の大雪や寒波による積雪や路面凍結で交通機関に大きな影響が出てています。
このページでは、近年の冬季異常降雪による交通障害と降雪時の走行における自衛手段について解説しています。
出典:国土交通省ホームページ (http://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/project.html)
積雪寒冷特別地域における道路交通の確保
冬季に積雪寒冷により影響を受ける地域は、雪寒法(積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法)により対象範囲が規定され、除雪や防雪及び凍雪害の予防を行い道路交通の確保を行っています。
出典:国土交通省ホームページ (http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000064.html)
しかし、極端な気象現象による雪や寒波の影響が首都圏や福岡や北九州、熊本など雪寒法対象範囲外の地域にも及ぶ頻度が高くなり、突然の積雪、凍結を想定していない自動車の走行により、交通機関に大きな影響を生じています。
チェーン規制対象道路と気象情報の事前把握
国土交通省では近年の異常気象による降雪対策に、大雪特別警報【※1】発令時に国道や高速道路の一部路線【※2】でのタイヤチェーン装着による走行を義務化しています。
規制区間は、積雪が多く急勾配の峠道などでスタッドレスタイヤを装着していても走行が困難な箇所ですので、チェーン規制エリアと気象情報を事前に把握しておき通行の予定がある場合は、チェーンを忘れずに携行しましょう。
【※1】数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される気象条件が揃う場合に発令
【※2】チェーン規制区間一覧
直轄国道
高速道路
冬期の自動車運転は早めの準備で自衛する
冬期に毎年、積雪がある地域にお住いの方は、降雪時期前に冬用タイヤに交換したり、バッテリーやチェーンの点検、スノーブラシの準備を行い除雪がされた道路へルート変更して走行したり、積雪が激しい日には、スコップを積んで出発するなどなど十分注意深く雪に備えます。
これに対し、首都圏など普段積雪のない地域では、降雪が始まっていても特別な準備もなしに運転してしまい。走行不能に陥ったり、事故に遭ったりします。
こんな中で、少しでもトラブルにあう確率を減らすには、積雪に備えて準備し、自衛しておくことが大切です。
積雪 凍結時の走行準備
積雪時ノーマルタイヤでの走行
道路に積雪がある状態でのノーマルタイヤでの走行は、ほぼ不可能と考えておく必要があります。
道路に積雪がある場合、新雪でも圧雪でもノーマルタイヤでの走行は危険です。車間距離を十分に長くとり徐行運転をしていたとしても、ブレーキをかけた際に一旦滑り始めると止まりません。
圧雪道路や凍結が始まった道路では、進行方向も操作できなくなり、横向きになり滑っていく場合もあります。雪道+ノーマルタイヤの組み合わせでは、車間距離はないものも同然と考えていたほうがよいほどです。
また、わだちに沿ってうまく走行出来ていたとしても、一旦道路脇の積雪に突っ込んでしまったり、いつのまにか車体の下に雪が多量に付着し走行できなくなるとタイヤが空転(スタック)し一人での脱出はほぼ不可能です。
積雪時のノーマルタイヤ走行は法令違反です
積雪や凍結時のノーマルタイヤ走行は、各都道府県が定める 都道府県道路交通法施行細則又は道路交通規則における 積雪、凍結時の防滑措置(リンク先:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)に違反することとなります。
降雪に備えて準備しておきたい物
手袋:防水タイプ
スノーブラシ:車のルーフに積もった雪は、すべて落としてから出発するようにしましょう。ルーフに雪を積んだまま走行すると停車時にフロントガラスに滑り落ち前が見えなくなります。
ワイパーゴム :に着雪や着氷がある場合は、スノーブラシのスポンジ部分で取り除くことをお勧めします。また、この時にウォッシャー液が出るか確認しておきましょう。
スクレーパー、解氷スプレー:フロントガラス凍結時に役立ちます。
スコップ:積雪にはまりこんだ時のスタック時に必須です。スタックの原因となっている雪を手でかき出しても時間だけがかかり徒労に終わることがほとんどです。スコップで車輪の後ろでストッパーのように固まった雪を取り除くとあっけないくらいに脱出できる場合があります。
チェーン:圧雪状態の坂道や道路が凍結している場合は、チェーンが必要です。市街地走行時など雪道と積雪のない道路を走行する場合は、ポリウレタンやウレタン、ゴム製のチェーンが切れにくくお勧めです。
チェーン規制個所でも、布製カバータイプチェーンが利用できます。
詳細は、国土交通省WEBサイトのチェーン規制について(Q&A)のページの
チェーン規制のチェーンはどんなチェーンでも良いの?
に対する回答欄をご参照ください。
タイヤサイズに合ったチェーンを用意し、一度自分で取り付けの練習をしておくと安心です。
ポータブルバッテリースターター:低価格でスマホの充電も可能なジャンプスターターもあります。
タイヤチェーンの種類・付け方
タイヤチェーンには、金属の鎖のものと、ポリウレタンやウレタン、ゴム製などの非金属のものがあります。
どちらが優れているということはなくそれぞれにメリット・デメリットがありますので、使う用途や予算に合わせて選んでください。金属タイプタイヤチェーン
- メリット
- 凍結路に強い
- 収納がコンパクトにできる
- 価格が安い
- デメリット
- 走行時の振動や騒音が大きく、乗り心地が良くない
- 乾燥路で使用すると切れやすいといわれている
- 金属の鎖なので、チェーン自体が重い
- 金属タイプには、チェーンの形状によってさらに違いがあります。
はしご型
タイヤへのフィット性が良く、タイヤの駆動力を路面に伝えやすく坂道での登坂能力に優れています。
凍結路では、横滑りしやすいので、注意が必要です。
亀甲型
雪道、凍結路ともに威力を発揮し高性能。
凍結路での横滑りに高い性能を発揮します。
はしご型よりも乗り心地は優れている。
取り付け方法
- チェーンの裏表に注意し、タイヤにチェーンを被せます。前輪への取付の場合、右タイヤは右へ、左タイヤは左へハンドルをめいっぱい切っておくと作業がしやすくなります。
- タイヤの裏に手を伸ばして、チェーンの内側のフックを留めます。フックが届かない場合は、チェーンを左右に揺り動かして引き寄せます。
- チェーンを均等に整え、外側のフックを留めます。フックが届かない場合は、同じくチェーンを左右に揺り動かして引き寄せます。
- 金具の連結部を起点に、ゴムバンドあるいはスプリングを均等に掛けます。バンドのフックもタイヤを傷めないように、外側に向けます。
非金属タイプタイヤチェーン
- メリット
- 雪道、乾燥路ともに静かで振動も少なく、乗り心地性能は優れている
- 雪道、凍結路ともにバランス良く高い性能を発揮
- 乾燥路で使用しても切れにくいといわれている
- 多くのタイプがあり用途に合わせて選択しやすい
- デメリット
- 金属タイプに比べ、折りたたみが十分にできず収納性がひくいものが多い
- 金属タイプと比べ高価
ゴムチェーン・ウレタンチェーン取り付け方法
- 図のようにチェーンをタイヤの裏側へ回し込みます。
- チェーンの両端をも持ち、タイヤに沿わせながら持ち上げます。
- 裏側上部のジョイントを接続します。(ジョイントの形状はメーカーにより異なります。)
- 地面側のチェーンを強く引き、外側下部のフックを接続します。(フックの形状はメーカーにより異なります。)
- 外側上部のチェーンを強く引き、上部のフックを接続します。
- フックの全てにゴムバンドを均等に掛けます。
出典:中部地方整備局三重河川国道事務所ホームページ (http://www.cbr.mlit.go.jp/mie/snow/sp/chain.html)